スマートユビキタスフォーラム





ユビキタス時代の通信インフラを目指すPHS、
オープンプラットフォーム戦略を加速させるウィルコム


[2007/04/26]


写真1:W-SIM
W-SIM
  無線ブロードバンドを前提としたユビキタス時代の到来に向けて、PHSが独自の進化を見せはじめた。
 4月12、13日に有楽町国際フォーラムで開催された「WILLCOM Forum & Expo」では、最高スループット20Mbpsを実現した次世代PHSの実験などが公開され話題を集めたが、もうひとつ目を引いたのが「WILLCOM SIM STYLE(ウィルコム シムスタイル)」という提案だ。ウィルコムは、2005年にPHSの通信機能をモジュール化してW-SIMというICカードとして製品化した。通信機能を担うコア・モジュール(SIM)と端末ハード(ジャケット)を分離させ、PHSの通信機能そのものを外部に提供する、オープンプラットフォーム戦略に向けて大きく舵を切ったのだ。同Forum & Expoでは、このW-SIMを用いた新しいPHS端末の開発可能性がコンセプト・モデルとして参考出品された。

 同Forum & Expoの講演で、ウィルコムの土橋匡副社長は「日本のケータイ市場は、これまではケータイキャリアを中心とした垂直統合型のビジネスモデルでやってきたが、ウィルコムは、PHSの通信インフラ網をプラットフォームとして他の事業者との協業を積極的に進め、水平連携型のビジネスモデルを目指す」とオープン化に向けた姿勢をあらためて強調した。

水平連携型ビジネスモデルを目指す
写真2:バンダイのpapipo!
バンダイのpapipo!
 WILLCOM Forum & Expoの「WILLCOM SIM STYLE(ウィルコム シムスタイル)」という提案コーナーでは、W-SIMを活用した、PHS端末のコンセプト・モデルが展示された。
 ヘッドフォンにW-SIMを組み合わせた「音楽ヘッドフォーン・ケータイ」、ユーザーがW-SIMを使ってプラモデルのように自分だけのケータイを作りあげる「プラモ・ケータイ」など、ユニークな提案が目を引いた。このコンセプト・モデルの実際の開発に際しては、ウィルコムはコア・モジュール(通信機能)の提供に専心し、端末(ジャケット)の開発は、外部事業者との連携によって進めるという。こうしたオープンプラットフォーム戦略の下、さまざまな事業者との連携プロジェクトが始動しており、玩具メーカーのバンダイとは、既に「papipo!」という子供向けケータイが商品化されている。
 W-SIMに加えて、ウィルコムが注力しているのが、M2M(Machine to Machine)分野の開拓だ。あまり知られていないがPHSは、エレベータの遠隔監視などの通信インフラとして、既に全国の約3割、15万棟余のビルで採用されているほか、LPガス、水道、電気の検針データをPHSのパケット通信で送信するといったテレメタリングと呼ばれる「検針業務の遠隔監理」にも幅広く採用されている。

プラモケータイのコンセプト提案
プラモケータイのコンセプト提案

M2Mのインフラとして数々の利点を持つPHS
荒木健吉部長
ウィルコム ユビキタス事業推進部
荒木健吉部長
  ウィルコムのユビキタス事業推進部、荒木健吉部長は、PHSがM2Mのインフラとして浸透している理由を「12年間にわたって地道にマイクロセル方式の通信網を整備してきた結果、人口あたりのカバー率が99.3%に達しており、このネットワークインフラを活用してもらうことで、事業者が、通信インフラへの新たな投資もなく、しかも通信料や端末についてもリーズナブルなコストでM2Mを実現できるから」と説明する。こうした利点を生かし、PHSを通信インフラとして活用した新しい情報サービス事業が立ち上がっている。

 ホンダは、「インターナビ・プレミアムクラブ」というホンダ車のオーナー向けに交通・渋滞情報を提供する情報サービス事業を運営しているが、ウィルコムはこのインターナビ・プレミアムクラブ向けに「カーナビ専用(月額525円からの二段階定額プランと1,050円の使い放題プラン)サービス」を提供している。このサービスに加入すると、データセンターと交信するPHSを搭載したカーナビ専用通信カードが渡され、これを通じて最新の渋滞予測情報などが確認できるとともに、メンバーの車の走行データが自動的にセンターに送信される。センターにはこうして集められた2億キロにも及ぶ走行データが蓄積されていて、VICS(道路交通情報通信システム)による幹線道路の交通情報だけではなく、メンバーの車から送られてくる支線や裏道の情報なども加えながら、より正確な渋滞情予測報が提供される。従来は、携帯電話などを用いて従量課金によっていたが、ウィルコムの定額サービスを利用すれば、料金を気にせずこのサービスを利用することができる。

WILLCOM Forum & Expoで紹介されたホンダのインターナビ
WILLCOM Forum & Expoで紹介されたホンダのインターナビ

 また、大日本印刷はPHSのパケット通信機能と温度センサーを搭載したCSCエンジンという通信モジュールを採用して、「トレイルキャッチ」という生鮮食品、冷蔵食品などあらゆる商品を対象に輸送トレーサビリティを実現する情報サービスを開始した。
 これは、CSCエンジンを搭載したトレイルキャッチの端末を荷物に入れておくと、自動的(10分〜2時間間隔)に温度情報と位置情報がPHSを通じて送信され、荷物の温度管理状態がリアルタイムで確認できるというもの。RFIDなどを用いたトレーサビリティの実証実験などが各所で行われているが、いずれもデータ収集のための通信インフラの構築に大きな投資が必要となることが、事業化のネックになっていた。大日本印刷は、CSCエンジンとPHSの通信網を活用することでこの課題をクリアした。

 ウィルコムは、こうしたM2M分野の市場開拓をさらに推し進めるために、アッカ・ネットワークス、マイクロソフトとともにM2Mコンソーシアムを立ち上げた。このコンソーシアムは、M2Mの分野で通信とITを融合させた新しい事業モデルを開発することが最大のミッション。M2Mコンソーシアムの中心メンバーで、アッカ・ネットワークス、ソリューション事業開発部、ビジネスディベロップメントマネジャー佐治秀哉氏は「このコンソーシアムでは、通信系の従来型のコンソーシアムとは異なり、技術の標準化や規格づくりの議論をするのではなく、事業者連携によって実現可能な事業モデルについて検討し、良いプランができたら、すぐさま事業化を進めることを目的にしている」とM2Mのビジネス開発に向けて強い意欲を示した。


Willcom 公式サイト
ウィルコム公式サイト




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